2017/12/15

『探偵はBARにいる3』

Postera2017年、製作委員会。東映配給。大泉洋、松田龍平、北川景子ほか。公式サイトの紹介文。

「恋人の麗子が失踪した」。高田の後輩からのありふれた依頼を安易に引き受けた探偵。早速調査に乗り出すと、探偵は麗子がアルバイトをしていたモデル事務所のオーナー・マリと出会い、かすかな既視感を覚える。しかし周囲を嗅ぎまわる探偵はマリの手下に襲われ、これまで無敗を誇った高田も倒されてしまう。
次第に麗子の失踪の陰に、裏社会で暗躍する札幌経済界のホープ・北城グループの殺人事件が見え隠れする。マリはグループの代表・北城の愛人だった。そんな中、何かを思い出す探偵。なじみの元娼婦・モンローがかわいがっていた、今にも死にそうに震えていた女――「あれか…?あれがマリか…?」
緊張が走る裏社会、巨額の薬物取引、2つの殺人事件――。すべてはマリによる、北城をも欺く作戦であった。そしてマリは、探偵に最後の依頼を託す。その時、探偵と高田の別れへのカウントダウンが始まっていた。(引用終わり)

第1作の小雪、第2作の尾野真千子に続き、本作では北川景子がヒロインを務める。彼女にとって初めての悪女役となったが、凄みを感じさせるほどの迫力はなかった。ファンとしてそれを喜んでいいのかどうかは分からないが、それよりは回想シーンに登場する、ほとんどスッピンの血の気の失せたような表情の方が印象的だった。

ストーリーは前作までと同様、札幌の裏社会を背景とした事件に果敢に切り込む、探偵と高田コンビの冒険活劇である。第1作で指摘したようなエロ・グロ趣味は影を潜め(本作はPG指定なし)、ブラックを含めてユーモラスな場面も多く、安心して観ていられる作品に仕上がっている。

事件の結末はほぼ予想できる範囲内である。詳しくは観てのお楽しみとしか言えないが、ひとつだけ、エンドロールの最後まで席を立たないことをお勧めする。

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2017/12/12

架空の名演

モーツァルトの交響曲第35番ニ長調K.385「ハフナー」。あだ名の由来は、もともとハフナー家のために書かれたセレナードを編曲し、交響曲に仕立て直したことによる。

先月末から、NHK-FMでこの曲を立て続けに3回聴く機会があった。11月29日のクラシック・カフェ、12月3日の名演奏ライブラリー、同8日のオペラ・ファンタスティカで、演奏はそれぞれムーティ指揮ウィーンフィル、テイト指揮イギリス室内管、ベーム指揮ロンドン響(ザルツブルク音楽祭ライヴ)である。

それぞれ特徴ある演奏で、同じ曲でもだいぶ違って聞こえるのが面白かったが、自分にとってのこの曲の最高の演奏は、実は空想上のものである。もう30年以上も前の話になるが(その頃はまだタバコを吸っていた)、飛行機に乗っていて実に不思議な体験をした。ちょっと気恥ずかしい部分もあるが、ある所にそれを書いたものを抄録してみる。

…離陸したYS11がどんよりとした雨雲を突き破るようにぐんぐん上昇するにつれて、鉛色の東京湾が次第に雲に隠れていく。禁煙のサインが消え、タバコに火を点け、目を閉じる。飛行機の旅で一番好きな瞬間である。瞼の裏が急に明るくなって、とても眩しい。目を開けると、窓の外には真綿のような雲海が果てしなく広がり、陽光に輝いている。この世のものとも思えぬその眺めに見惚れているうち、心と体に纏わりついていた疲れが解き放たれ、不審議な安堵感に満たされる。再び目を閉じる。
 その瞬間である。何の脈絡もなく、モーツァルトのハフナー・シンフォニーの第1楽章 Allegro con spirito が頭の中に響き始めた。それも信じ難いぐらいの完璧なテンポとハーモニーをもって…。冒頭主題のに2オクターブにわたる力強い跳躍はまさに魂(spirito)の躍動そのもの。それに対置されたメロディは、対照的に柔和な表情をみせ、それでいて一分の隙もない緊密な音楽。剛と柔の絶妙のバランスの上に立った、奔放自在のようでいて、古典の様式から些かも逸脱しない展開。いくら言葉を尽くしても空しくなるばかりである。この美しさはもはや人間の仕業ではない、と思い始めた時、涙が頬を伝って落ちた。
 冒頭主題が一層の雄々しさで再現され、音楽は終結へ向けて急激にエネルギーを蓄えながら高揚していく。ヴァイオリンが人間ばなれした軽やかさで跳びはねる。その圧倒的な美の前に、もはやそうすることでしか感動を処理することができないかのように、涙は滂沱として流れ続ける。…

文字どおり、「架空」の名演だった。この時のような体験は、それまでもそれ以降もないし、「ハフナー」の、否、モーツァルトの楽曲のそれ以上の演奏にはまだ出会っていない。

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2017/12/09

『アラバマ物語』

Mockingbird_2映画ネタはちょっと久しぶり。1962年、米。グレゴリー・ペック主演。「午前十時の映画祭」の紹介文。

世界恐慌の波が襲った1932年、アメリカ南部のアラバマ州。妻を亡くした弁護士、アティカス・フィンチ(G・ペック)は、幼い息子ジェムと娘のスカウトと共に、静かだが幸福な日々を送っていた。そんなアティカスに地方判事から、白人女性への暴行事件で訴えられた黒人青年・トムの弁護を依頼される。人種偏見が根強い町の人々は、黒人側に付くというアティカスや子供たちに冷たく当たるようになる。だが彼は不正と偏見を嫌い、何よりも正義を重んじ、トムの弁護を引き受ける。(引用終わり)

名作である。物語の主軸となるのは黒人青年トムの裁判であるが、当時の南部に根強かった人種偏見に対して、あくまで公正公平な態度を貫くアティカスの生き方や、子供に対する深い愛情がひしひしと感じられ、大変に感銘深かった。米映画協会が選んだ米映画のヒーロー100人の第1位がアティカスだったというのも頷ける。

グレゴリー・ペック自身、「好きな役柄は?」と問われて、「アティカスだ」と即答する場面が、特典映像の「グレゴリー・ペックとの対話」に収録されている。関係者のインタビューによれば、ペック自身アティカスを地で行くような公明正大な人物だったようで、中でも娘のセシリアのスピーチは父への深い尊敬を窺わせ、大変に感動的だった。

ところで、本作は“To Kill a Mockingbird” という原題で、ハーパー・リーによる同名小説を映画化したものだが、これにはネタバラシを含む説明が必要だ。

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2017/12/06

古文書講座

地元図書館主催の古文書講座第1回を聴講した。「図書館が所蔵する地域古文書を読み解く、初心者向けの講座」ということで、講師は元市職員で図書館に約10年間勤務され、退職後は郷土史家として活躍されている方である。

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街道走りを始めて以来、沿道にある道標や古地図、浮世絵などを通じて、江戸時代の文書や文字に接する機会が増えたが、残念ながら知識が乏しくてほとんど解読出来ない。特に変体仮名は全くお手上げという状態だ。少しでも手がかりを得られるかと思い、今回の講座に参加することにした。

「江戸時代の…」という講座タイトルとは異なり、第1回目は秀吉の太閣検地の記録文書(文禄4年)を解読するという内容だったが、市内の現在も同じ地名が残る場所についての記載であり、400年以上の時の隔たりを超えた、ある種の親しみを感じた。

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2017/12/03

祝、50周年!

「記念」つながりということで(笑)。王将のぎょうざ倶楽部会員カードをようやくゲットした。創業50周年ということで、真ん中に「50」の文字(ゼロは5個の餃子を輪にしたもの)があしらわれている。その他、500円割引券(左上)と天津飯ストラップを貰った。

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今月10日の締切直前になっての獲得となったが、勤めていた頃は夕食時に頻繁に利用して、1か月もかからずにゲットしていたものが、退職したうえに昼食をとらなくなった現在は、利用する機会がさらに減ったためである。

今年は生計費の足しにするため、長年ホールドしていた株式も売却した。学生時代以来おつきあいしてきた王将であるが、生活環境の変化によって、その関わりは次第に薄くなっていくのだろう。

ところで、前の記事に書いた峠ランの翌日、左足指を怪我してしまい、しばらく休養を余儀なくされることになった。好事魔多し、である。

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2017/11/30

祝、600回!

昨日、芋ケ峠頂上までの往復コースを走った。これで、1999年に初めて走って以来、600回目の節目となった。実際には、吉野まで往復したときなど1日に2回通過することもあったが、それは1回とカウントしているので、正確には600日目ということになろうか。

年ごとの回数は次のとおり。ここ最近で回数が増えたのは、過去の記録を整理したことで、600回到達が視野に入ってきたためだ(笑)。さて、年20回ペースであと20年走ると1000回到達となるが、さすがにちょっと厳しいだろう。

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11月29日 LSD20キロ
月間走行  200キロ

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2017/11/27

『炭水化物が人類を滅ぼす【最終解答編】』

9784334043179夏井睦著。版元の紹介文。

ベストセラー『炭水化物が人類を滅ぼす』の刊行から4年。この間、糖質制限を取り巻く社会の状況は大きく変化した。批判的な記事は数を減らし、代わってスーパーや外食チェーンには糖質オフ商品が続々登場。今や糖質制限市場ともいうべき巨大マーケットが形成されている。それは何より消費者の側が、健康への効果を体感しているからだろう。続編となる本書では、前作で未解決だったいくつかの問題を解決し、実践者からの大規模アンケートの結果を公開。さらに糖質セイゲニストの立場から、全生命史、全人類史を読み直すという新たな試みに挑む。(以下略、引用終わり)

基本的に前著の記述を敷衍したり、新たな考察を追加した内容である。糖質制限の正しさを一層確信することが出来たが、驚くような発見はそれほどなかった。それでも、

インスリン分泌を促す糖質が肥満の唯一の原因だ。逆に、脂肪を摂取してもインスリン分泌は起こらないので、肥満にはならない。肥満の原因はあくまでも、摂取すると必ずインスリンを分泌させる糖質だけなのだ。(101頁)

食物は活動のためのエネルギー源(カロリー)でもあるが、体を作る部品の供給源でもあったのだ。これらが明らかにされたのは20世紀後半であり、(「食物=カロリー」仮説が生まれた)19世紀の科学者には知る由もないことだった。(中略)その「半分しか正しくない19世紀の仮説」はいまだに世界中に広く信じられているし、それどころか、栄養学と医学の基礎理論となり、社会の常識となっていく。(107-108頁)

といった記述には、改めて目からウロコが落ちた。今さらいちいち訂正する気はないが、当ブログでも上記のような誤解に基づいて書いてしまった箇所も多い。

ただ、「ヒトはなぜ長く走り続けられるのか」という問題に対して、「人類は長距離走を武器にした狩猟者だった」という説はランニングブームの影響によるとして退けているけれども、では本当の理由は何かについては記述がない。また、「ヒトはなぜ汗をかくのか」についても、一般的な体温調節説を退け、性交時の快感を増すためという、やや突飛な説明がなされている。

このあたりの説明はやや説得力に欠ける。やはり、ヒトは他の動物には出来ない長距離走が可能となるように進化し、そのために不可欠な冷却装置として発汗システムが生まれたと考えるのが自然だと思う。

11月25、27日 ジョグ10キロ

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2017/11/24

雪虫

朝、玄関先に出てみたら、白い綿くずのような虫が何匹かふわふわと飛んでいた。しばらく見ているうちに、初めて読んだ堂場瞬一の小説のタイトルにもある「雪虫」だと見当がついた。調べてみると、やはりそのとおりだった。

実物はもちろん、これまで画像でも見たことがなかった。アブラムシの一種で北海道、東北を中心に生息し、関東でも目撃例があるようだが、関西では珍しいのではないだろうか。名前のとおり粉雪が風に舞っているような印象があるが、寿命は大変短いそうで、儚さとか「もののあわれ」を感じさせる。

ガラケーカメラゆえ若干不鮮明だが、一瞬だけ手に止まった瞬間をとらえた。

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偶然だが、これで「人生初」関係の記事が3連続となった。この歳になっても、まだまだ知らないことに出会えるのは、きっと良いことに違いない。

11月23日 ジョグ10キロ

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2017/11/21

遠近両用メガネ

なるものを初めて使用することになった。白内障手術から3ケ月近く経過し、目の状態も安定してきたので、メガネを作り直すことにしたのだ。パソコンや読書など日常生活ではメガネなしで全く不自由しないが、外出時や車を運転するときなどは、やはり遠方視力の不足を感じていた。

ただ、手術で入れたのは近方用の単焦点レンズであり、単純に遠方用のメガネにしてしまうと、今度は近いところが見づらくなるため、遠近両用のメガネが必要なのだ。最初、近方は矯正の必要がないため、レンズの下の部分は度数のない素通しのガラス(いや、プラスチックか)で良いと思っていたのだが、遠近の境目がないレンズの構造上、若干の補正をしてやらないといけないそうだ。

それはともかく、出来あがったメガネで見ると、遠くはもちろん、近くもほぼ裸眼と同じ程度に見えるので、当面はこれで問題はなさそうだ。ただ、一旦かけたあとでメガネを外すと、すぐにはピントが合わず違和感が残る。メガネを使う機会はそれほど多くないが、慣れるまで少し時間がかかるかもしれない。

11月19、21日 ジョグ10キロ

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2017/11/18

作務衣

ふだんの部屋着として、初めて作務衣(さむえ)を購入した。もともと禅寺で作務(日常の雑務)を行う際の衣装で、非常に動きやすく機能的に出来ている。袖と裾がゴム入りで、邪魔にならないところが良い。紐で絞るのが本当らしいが、「お寺様のご意見をもとに開発された」実用本位の改良版なのである。

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着ていると「和」の気分になり、どこか心が落ち着く。また、これで日本茶を飲むと、ひときわ美味しく感じられる。家族の評判も意外によろしい。(笑)

実はこれ、きょう50代最後の誕生日を迎えた自分への、自分自身からのプレゼントなのである。それなりに歳をとって、いろいろ趣味嗜好が変わりつつあるのを実感する。おっと、家族からも素敵なプレゼントをもらっているので念のため。

11月17日 LSD40キロ

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